家庭の水回りで最も稼働時間が長いのが蛇口です。キッチン、洗面、浴室、屋外蛇口はいずれも消耗品で、内部のパッキンやカートリッジ、スパウトのOリングは経年で劣化します。まず押さえたいのは種類と構造。もっとも一般的なのは「混合水栓」で、レバー1本で湯水を混ぜるタイプ。ほかにツーハンドル、サーモスタット、タッチレスなどがあり、操作感と部品構成が違います。配管は給水(青)・給湯(赤)・排水で構成され、水圧や勾配が不足すると水はね、異音、逆流、臭い戻りが起きやすくなります。
どれを選ぶ?蛇口の選定ポイント
交換やリフォーム時は次の観点で比較しましょう。
- 取付規格:ワンホール/ツーホール、壁付/台付、ピッチの互換性。
- 吐水方式:泡沫・シャワー切替、整流、節湯C1/C2基準。
- メンテ性:カートリッジの入手性、工具の要不要、止水栓位置。
- 機能:タッチレス、浄水器内蔵、ハンドシャワー、首振り角度。
- 材質・仕上げ:ステンレス、真鍮クロム、PVD。水垢の目立ちにくさも重要。
- 省エネ:水だけ開くエコシングル、低流量でも快適な吐水設計。
総合すると、家事が多いキッチンはハンドシャワー+タッチレスが人気。洗面は吐水口の高さとボウルとの距離が使い勝手を左右します。
よくあるトラブルと原因
「ポタポタが止まらない」「根元からにじむ」「レバーが重い」は三大相談。原因は①パッキン・カートリッジの摩耗、②スパウトOリングの硬化、③エアレーターの目詰まり、④水圧の急変、⑤取付ナットの緩みです。異音(ウォーターハンマー)は急閉止や配管固定不足が要因。放置すると漏水量が増え、月の水道料金が数百~数千円跳ね上がることもあります。
自分でできるメンテ
作業前に必ず止水栓を閉め、残圧を抜きます。基本の流れは「分解→清掃→消耗品交換→復旧→漏れ確認」。
- エアレーター清掃:吐水口を外し、酢やクエン酸で浸け置き。白い固着は炭酸カルシウム。
- パッキン・Oリング交換:サイズを現物合わせ。シリコングリスを薄く塗布。
- カートリッジ交換:型番を確認し同等品へ。締め込みはトルク過多に注意。
- シールテープ:ネジ部は巻き終わりを流れ方向へ。7~10周が目安。
作業後は全開・全閉を数回繰り返して微漏れをチェック。床養生とバケツ受けを忘れずに。
交換手順の概略
- 止水・通電停止(タッチレスは電源も)→2) 旧蛇口を撤去(固定金具・給水ホース)→3) 取付面を清掃・水平確認→4) 新蛇口を仮置きし位置決め→5) 付属金具で固定→6) 給水・給湯ホース接続(逆接防止)→7) 漏れ試験→8) コーキングで防水。壁付は偏心管のシールと水平出しが肝です。費用は本体価格+施工費。一般的な台付混合水栓で1.5~3万円、タッチレスで2.5~5万円前後が目安(部材・地域差あり)。
業者へ依頼する判断基準
次の症状は業者への相談が安全です。①床下や壁内での漏水音、②複数蛇口の同時不調、③止水栓が回らない、④古い鉛管・鉄管の腐食、⑤賃貸での原状回復が必要なケース。見積もりでは「本体型番・工事範囲・出張費・処分費・保証期間」を明記してもらい、写真付きで提案してくれる水道工事業者を選びましょう。相見積もりは2~3社。極端な即決割引は要注意です。
節水・衛生・再発防止
節水エアレーターやエコシングルは10~40%の削減効果が期待できます。油は拭き取ってから洗う、週1のぬるま湯フラッシュ、月1のエアレーター洗浄でぬめりと臭いを抑制。梅雨~夏はカビが増えやすいので、シンク周りの換気と水はね拭き取りを習慣に。冬は配管保温で凍結・破裂を予防しましょう。