ドレンネジ継手の基礎
ドレンネジは、排水配管の点検・排出・清掃口として用いられるねじ込み式の鋳鉄製管継手(ソケット、エルボ、チーズ、プラグ等)と、そのプラグ(ドレンプラグ)を指します。配管は一般に管用テーパねじ(PT)で接続し、シールテープや液状シール剤で止水します。
特徴は次のとおり。
- 着脱が容易:排水管洗浄の際、プラグを外してロッドやホースを挿入できる。
- 耐久性:可鍛鋳鉄(マレアブル)主体で衝撃・ねじ力に強い。
- 互換性:呼び径に合わせて各種継手と組み合わせやすい。
ありがちな不具合と兆候
- にじみ漏れ:ねじ部のシール不良、増し締め不足/過締め。
- 固着・外れない:経年の錆やシール剤硬化。無理な力は亀裂の原因。パイプレンチ2丁使い
- 赤錆・腐食:水気が多い場所や異種金属接触で進行。
- 騒音・逆流:勾配不足や汚れ堆積で流れが乱れる。
早期発見のコツは、**接合部の変色・水滴・白華(乾いた輪)**のチェックと、定期の排水管洗浄です。
正しい取り付け・再シールの基本
- 清掃・乾燥:古いシール材や錆をワイヤーブラシで除去し、乾いた状態に。
- シールテープ:ねじ先端を1山空け、流れ方向と同じ向きに重ね巻き(目安6〜10周)。
- 液状シール(必要時):耐水・耐薬品性を確認し、薄く均一に。
- 締め付け:手締め→パイプレンチで適度に。過締めは割れ・ねじ潰れの原因。
- 漏れ試験:満水・連続放流で確認し、接合部を目視。
ポイント:増し締め=万能ではありません。にじみが続く場合は一度外して洗浄・再シールが確実です。
排水管洗浄の段取り(ドレンネジ活用)
排水管洗浄は、詰まり予防だけでなく継手の健全性確認にも有効です。
手順
- 周辺養生:バケツ・ウエス・防水シートを準備。
- ドレンプラグを外す:固着時は浸透潤滑剤→少し待ってからレンチでゆっくり。
- 一次洗浄:ぬるま湯や中性洗剤で脂分を緩める。
- ロッド or 高圧洗浄:清掃口から下流→上流の順に。トラップや分岐を意識し、無理に押し込まない。
- フラッシング:大量放流で残渣を排出。
- 再シール・復旧:新しいシールテープでプラグ復旧→漏れ検査。
- 記録:実施日・流量・汚れ量・異常有無をノートや写真で残す。
頻度の目安
- 厨房や油負荷が高い設備:3〜6か月ごと
- オフィス等:年1回+詰まり兆候時
更新の判断基準と進め方
洗浄・再シールで改善しない場合や、ねじ山摩耗・ひび・肉やせがある場合は**更新(交換)**が必要です。
更新の判断ポイント
- 増し締め後もにじみが再発
- ねじ部が偏摩耗/潰れ
- 本体にクラック、プラグ角が欠けて工具が掛からない
- 腐食で肉厚低下、打音が鈍い
更新の進め方
- 同呼び径・同ねじ規格を確認(既設と混在しないように)。
- 使用環境に応じて表面処理を選定(亜鉛めっき・樹脂塗装など)。
- 勾配・支持金具を点検し、応力集中を回避(ハンガー追加、スライド支持)。
- 施工は清掃→シール→適正締付→漏れ試験の順。
- 既設が樹脂管の場合は、**異種接続継手(変換ユニオン等)**で確実に接続。
- 交換後は洗浄と写真記録をルーチン化し再発を防止。
選定のコツ(失敗しないチェックリスト)
- 用途と温度:厨房・機械室など温度と油分を確認
- 材質・表面処理:屋外や湿潤環境は耐食性重視
- 清掃性:清掃口位置、工具の当たり代があるか
- 将来の更新性:近傍に予備の清掃口やユニオンを用意
- 排水管洗浄計画:年次スケジュールと記録様式を整備
現場で役立つ小ワザ
- プラグ外し前に軽く逆回転→正回転で固着を解く。
- 再組立はねじ先1山空けで、内部突出を防ぎ流下性を確保。
- 勾配は用途・口径により異なるが、目安1/100〜1/50でたるみ・段差を作らない。
- 異種金属の近接は電食の原因に。絶縁継手やライニングを検討。