中華料理屋の排水溝詰まりを防ぐ実践ガイド

なぜ中華厨房は詰まりやすい?

  • 高温の油:冷えると固化し、配管内で層状に付着。
  • 片栗粉・小麦粉:水と油で糊化し、ヌメリの芯に。
  • 細かい残渣:ネギ、唐辛子の種、肉片が“栓”を作る。
    これらが床側溝~排水溝に堆積し、悪臭・逆流・害虫の原因になります。

まずは“流入させない”仕組み化

  1. 二重ストレーナー+紙フィルター
     シンクと床側溝の両方に設置。目開きは1〜2mmが目安。
  2. 粉ものの乾式回収
     片栗粉・打ち粉は濡らす前にほうき&ちりとりで回収。
  3. 廃油は回収ボトルへ
     固化剤で固めるか回収業者へ。薄めて流すのはNG。
  4. グリストラップ(GT)の毎日点検
     バスケットの残渣回収と油膜(スカム)すくいで、下流の排水溝負荷を軽減。

日々の清掃ルーティン(テンプレ)

  • 毎日(閉店後)
    • 床側溝のグレーチングを外し、ブラシ+中性洗剤でヌメリ除去。
    • 排水溝封水の水位を確認(臭気上がりを防ぐ)。
    • GTバスケットの残渣回収、油膜すくい。
  • 週1
    • 排水トラップの分解洗浄、ストレーナーの漂白除菌。
  • 月1
    • GTの満水洗浄(40–50℃のぬるま湯)+沈殿汚泥の回収。
  • 3~6か月
    • 配管の高圧洗浄をプロに依頼(繁忙店は短めに)。

バイオ(酵素)剤の上手な使い方

  • 閉店後など水使用が止まる時間に投入。
  • 直後の大量放流は避け、一晩定着させる。
  • 強アルカリは“詰まりの兆候時のスポット”として併用し、常用は避ける。

それでも詰まった!応急処置フロー

  1. 見えるゴミを除去:グレーチング・ストレーナー・トラップを外し、固形物を回収。
  2. ぬるま湯(50–60℃)+中性洗剤で脂をゆるめる。※沸騰水は配管・シールを傷める恐れ。
  3. 真空パイプクリーナー(ラバーカップ)で数回ポンピング。
  4. 改善しなければ手動ワイヤー。無理押し込みは逆効果。
  5. 複数箇所の逆流・悪臭が続く場合は高圧洗浄を依頼。

NG行為

  • 強アルカリの過剰投入(配管・パッキン劣化、作業リスク)。
  • 廃油の希釈放流(詰まりが奥に移るだけ)。
  • 芳香剤でのにおい隠し(原因除去にならない)。

排水溝の“におい”だけ強い時のチェック

  • 封水切れ:トラップの水位低下→満水復帰で改善。
  • ベント不良:通気不足で排水が鈍る→プロに点検依頼。
  • 床目地のバイオフィルム:ブラッシングと除菌で再発抑制。

プロ清掃を入れる判断基準

開店後3~6か月高圧洗浄なし(利用量多い店は短縮)。

目視で流れが遅い状態が1週間以上改善しない。

側溝から気泡・ゴボゴボ音が頻発。

GT清掃をしても悪臭が戻る