業務用空調ドレンの詰まり予防|配管洗浄のプロが教える失敗しないメンテ術

なぜ業務用空調はドレンが詰まるのか

私たちが現場で一番よく見る原因は「汚れ+滞留」。冷房時に発生する結露水はドレンパン→ドレン配管(ホース)→屋外へ流れます。ここに埃・油分・カビ・藻(スライム)が混ざると粘り気が出て、勾配不良や配管のたるみ部で堆積。やがて水漏れ・悪臭・停止に発展します。飲食店や湿度の高い施設、天井カセット型・ドレンポンプ付き機種は特に要注意です。


詰まりを放置するリスク

  • 天井・壁の漏水・シミ、電装のショート
  • 室内空気質(IAQ)悪化による臭い・カビ問題
  • 熱交換効率低下で電気代アップ
  • 繁忙期の突発停止=売上機会損失
    修繕は高くつきます。**“清掃と点検を先にやる”**ほうが結局安い、が現場の実感です。

プロが勧める「年間予防プラン」

① 冷房前(3〜4月):初動の徹底

  • ドレンパンを開け、ぬめり・藻を除去
  • ドレン配管をバキューム吸引で一気に引く
  • 勾配・たるみ・接続部の目視是正
  • 防虫キャップ/逆止弁の設置・清掃
  • 抗菌タブレットや酵素系バイオ製剤を適所に投入

② 繁忙期(7〜8月):軽点検で事故ゼロへ

  • 排水の流量チェック(流れが細い・音が変なら要再清掃)
  • フィルター清掃で汚れ起因のスライム増殖を抑える

③ 冷房後(10〜11月):仕上げと越冬対策

  • パン・配管の洗浄&乾燥、断熱材のズレ補修
  • ドレンポンプの作動・異音チェック
  • 記録化(いつ/どこ/何をやったか)で翌年の工数削減

最低でも年1〜2回の系統清掃+繁忙期の簡易点検を。大型施設や油煙負荷のある現場は四半期が安心です。


これだけは押さえる!現場で効く5つの予防技術

  1. 勾配の確保(1/100〜1/50)
    ほんの少したるむだけで堆積点ができ、再発の温床に。吊り金具や支持金具で確実に矯正します。
  2. 直線化と継手削減
    曲がり・継手が多いほど堆積・点検工数が増加。更新時はルート最適化が効果絶大。
  3. バキューム+薬剤の“合わせ技”
    吸って通して終わりにせず、バイオ製剤でスライムの再形成を抑制。飲食店では特に効きます。
  4. 屋外端の防虫・逆流対策
    虫、落葉、強風逆流を防虫キャップ&逆止弁でブロック。清掃しやすい型を選定。
  5. ポンプ・センサー点検
    天カセのドレンポンプ不良は漏水の鉄板原因。テスト給水・フロート動作・異音を必ず確認。

自社点検でもできる「5分チェックリスト」

  • 屋外のドレン排水が細くないか/断続的でないか
  • 室内機から異臭・ポタポタ音がしないか
  • ドレンホースの折れ・つぶれ・たるみがないか
  • 天井点検口から見える範囲の結露や水滴跡はないか
  • 前回清掃から6か月以上空いていないか

1つでも当てはまれば、早めの洗浄が安全です。無理にホースを外す自己対応は、破損・逆流の原因になります。


よくあるNGと再発防止のコツ

  • 中性洗剤だけでゴシゴシ:一時的にきれいでも、バイオフィルムは残り再発。吸引+薬剤が基本。
  • 防虫キャップを付けっぱなし:ゴミで目詰まり→逆効果。清掃が容易な製品を選び、定期で外して洗う。
  • 配管断熱の放置:断熱切れは外滴→天井漏水。清掃と同時に断熱の健全性も点検。
  • 点検記録なし:担当者が変わると再発。写真+実施表でナレッジ化を。

施設タイプ別の要点

  • 飲食店:油分+粉塵でスライム増。四半期清掃と高性能防虫キャップが有効。
  • 医療・介護:IAQ重視。抗菌剤の適正運用と流量の数値管理(L/分)が安心。
  • オフィス:夜間停電・停止があると滞留しやすい。勾配再確認と停止前の短時間送風で乾かす運用も◎。
  • 工場・倉庫:長配管・高所が多い。点検口の追加や内視鏡点検で工期短縮。

依頼時に比べるべき“プロの基準”

  • 吸引機+薬剤の両方に対応しているか
  • 勾配是正や小修繕までワンストップか
  • 写真付き報告書と再発時の保証ルールが明確か
  • 夜間・早朝など営業時間外対応の可否
  • 費用が“台数×系統”で透明か(追加見積りの条件も)

料金の目安と投資対効果

相場は地域・条件で変わりますが、年1〜2回の計画洗浄は、漏水復旧(天井修繕・クロス張替え・設備停止)の1/5〜1/10で済むケースがほとんど。電力効率の改善、副次的な臭気トラブル減も大きなメリットです。