屋上や建物の外部に設置されているシロッコファンは、厨房、トイレ、機械室、倉庫などの空気を屋外へ排出するための重要な設備です。
シロッコファンが正常に回転していても、屋外に設置されたケーシングは、雨、湿気、紫外線、排気に含まれる油分などの影響を受け続けています。
写真のシロッコファンも、一見すると大きな破損は確認できません。しかし、ケーシング下部やボルト周辺には汚れや部分的なサビが見られ、塗膜の劣化が進み始めている状態と考えられます。
屋外シロッコファンは、ケーシングに穴が開いてから修理するのではなく、穴が開く前に塗装することが重要です。
本記事では、屋外シロッコファンの腐食原因、高圧洗浄機を使用したケレン・下地処理、塗装後の表示ステッカー張替えについて、ビル管理会社や施設管理担当者向けにわかりやすく解説します。
屋外シロッコファンのケーシングが腐食する原因
屋外シロッコファンのケーシングには、鋼板や亜鉛メッキ鋼板などが使用されています。
新品の状態では塗膜やメッキによって表面が保護されていますが、長期間にわたって屋外に設置されると、少しずつ保護性能が低下します。
主な劣化原因は次のとおりです。
- 雨水や湿気
- 紫外線
- 温度変化による結露
- 排気に含まれる油分や汚れ
- 海岸地域などの塩分
- ボルトや鋼板の継ぎ目からの腐食
- 清掃や点検時についた傷
塗膜に小さな傷や剥がれが発生すると、そこから水分が入り、鋼板のサビが進行します。
特に注意したいのが、ケーシングの下部、ボルト周辺、鋼板の継ぎ目、溶接部、点検口周辺です。これらの場所は水分が残りやすく、塗膜も傷みやすいため、腐食が進行しやすい傾向があります。
ケーシングに穴が開く前の塗装が重要
シロッコファンのケーシングに穴が開く前であれば、適切な下地処理と塗装によって腐食の進行を抑えられる可能性があります。
一方、鋼板が腐食して穴が開いてしまうと、塗装だけでは元に戻せません。
腐食部分の状態によっては、次のような工事が必要になります。
- 鉄板やステンレス板を使用した板金補修
- 腐食したケーシングの部分交換
- ボルトや固定金具の交換
- 架台の補修
- シロッコファン本体の交換
穴が開いてから対応すると、塗装工事だけの場合よりも費用が大きくなる可能性があります。
また、ケーシング内部へ雨水が入ると、羽根車、軸受、ベルト、モーター、電気配線などにも悪影響を及ぼすおそれがあります。
「まだファンが動いているから問題ない」と判断せず、サビや塗膜の剥がれが軽いうちに補修することが、設備を長く使用するためのポイントです。
高圧洗浄機でケレン・下地処理を行う理由
屋外シロッコファンを塗装する際は、塗料を塗る前のケレン・下地処理が非常に重要です。
ケレンとは、塗装する面に付着した汚れ、サビ、浮いた塗膜などを除去し、新しい塗料が密着しやすい状態に整える作業です。
大型の屋外シロッコファンでは、高圧洗浄機を使用してケレン・下地処理を行う方法があります。
高圧洗浄機を使用することで、ケーシング表面に長年付着した次のような汚れを効率よく除去できます。
- ホコリや砂
- 排気に含まれる油汚れ
- コケや藻
- 表面が粉状になるチョーキング
- 密着力が低下した古い塗膜
- 浮き上がったサビ
- ボルトや継ぎ目周辺の汚れ
汚れや浮いた塗膜が残った状態で塗装しても、新しい塗料は十分に密着しません。
見た目はきれいに仕上がっていても、短期間で塗膜が膨れたり、剥がれたりする可能性があります。塗装の耐久性を高めるためには、塗料の種類だけでなく、塗装前の下地づくりが重要です。
高圧洗浄だけでは落とせないサビもある
「高圧洗浄機でケレン」といっても、高圧洗浄だけですべてのサビを除去できるわけではありません。
高圧洗浄は、表面の汚れ、浮いた塗膜、脆弱になったサビなどを除去する作業に適しています。
一方、鋼板に強く固着したサビや厚い旧塗膜は、高圧洗浄だけでは十分に除去できない場合があります。
その場合は、次のような工具を併用します。
- スクレーパー
- ワイヤーブラシ
- サンドペーパー
- 電動ワイヤーブラシ
- ディスクサンダー
ケーシングの状態に合わせて、高圧洗浄と手工具・電動工具によるケレンを組み合わせることが大切です。
高圧洗浄を行った後は、ケーシングを十分に乾燥させてから塗装する必要があります。水分が残った状態で塗装すると、塗膜の膨れや早期剥離につながることがあります。
モーターや電気部品への高圧洗浄は避ける
シロッコファンは、モーターや電気配線を含む機械設備です。
高圧洗浄機を使用する際は、ケーシング外面を中心に施工し、モーター、端子箱、配線接続部、軸受などへ直接水をかけないようにします。
作業前には電源を停止し、必要に応じてブレーカーを切るなど、誤作動を防止する措置も必要です。
高圧の水が電気部品へ入ると、次のような不具合が発生する可能性があります。
- 絶縁不良
- 漏電
- モーター故障
- 端子部分の腐食
- 軸受内部への水分混入
- 運転再開後の異音や振動
そのため、施工前には十分な養生を行い、洗浄範囲と水の方向を確認したうえで作業します。
塗装前にケーシングの厚みや腐食状態を確認する
サビが発生している場合でも、すべて塗装だけで対応できるとは限りません。
ケーシングを押したときに鋼板が大きく変形する、サビが層状に剥がれる、下部が膨れている、すでに小さな穴がある場合は、鋼板の強度が低下している可能性があります。
このような状態では、サビを除去したことで穴が表面化することもあります。
塗装前には、次の点を確認します。
- ケーシングに穴が開いていないか
- 鋼板が薄くなっていないか
- ボルトやビスが腐食していないか
- 架台や固定金具にサビがないか
- 点検口が正常に開閉できるか
- 雨水が内部へ入っていないか
- 運転中に異音や振動がないか
腐食が著しい場合は、無理に塗装だけで納めず、板金補修や部品交換を検討します。
塗装後は表示ステッカーを張り替える
シロッコファンには、機器番号、系統名、排気対象室などが表示されています。
写真のシロッコファンにも、「EF-2」や排気対象と思われる室番号が記載されています。
しかし、塗装工事を行うと、既存の文字やステッカーが見えなくなる場合があります。また、屋外用ステッカーは紫外線や雨風によって劣化し、文字が薄くなったり、剥がれたりすることがあります。
設備番号が確認できないと、定期点検、修理、緊急対応の際に、対象設備を特定しにくくなります。
そのため、塗装前に既存の表示内容を写真や図面で記録し、塗装完了後に新しい表示ステッカーへ張り替えます。
表示する内容の例は次のとおりです。
- 機器番号
- 設備名称
- 排気対象室
- 系統番号
- 管理番号
- 必要に応じて運転上の注意事項
屋外に張る表示ステッカーは、耐候性と耐水性のある材料を使用します。文字の大きさや書体を統一すると、離れた場所からでも確認しやすくなり、設備管理の効率も向上します。
ビル管理会社が定期点検で確認したい項目
屋上設備は、普段の巡回で見落とされやすい場所にあります。
シロッコファンが正常に動いていても、外装の腐食は少しずつ進んでいる可能性があります。
ビル管理会社や施設管理担当者は、定期点検時に次の項目を確認することをおすすめします。
- ケーシングのサビ
- 塗膜の剥がれや膨れ
- ケーシング下部の腐食
- ボルトやビスの腐食
- 架台や固定金具の状態
- 雨水の浸入跡
- 表示ステッカーの劣化
- 運転中の異音や振動
- ファン周辺への油汚れの付着
サビが軽いうちであれば、高圧洗浄機によるケレン・下地処理と塗装で対応できる可能性があります。
腐食が進行してケーシングに穴が開いてからでは、板金補修や本体交換が必要となり、工事費用や排気停止時間が増えることもあります。
まとめ
屋外シロッコファンのケーシングは、雨、湿気、紫外線、排気汚れなどによって徐々に劣化します。
腐食対策で重要なのは、ケーシングに穴が開く前に塗装することです。
塗装前には高圧洗浄機でケレン・下地処理を行い、ホコリ、油汚れ、浮いた塗膜、脆弱なサビなどを除去します。固着したサビについては、ワイヤーブラシや電動工具によるケレンを併用します。
また、作業時にはモーターや電気部品を適切に養生し、洗浄後は十分に乾燥させてからサビ止め塗装と上塗り塗装を行うことが重要です。
塗装完了後は、設備番号や排気対象室が分かるように、耐候性のある表示ステッカーへ張り替えます。
屋外シロッコファンにサビや塗膜の剥がれが見られる場合は、穴が開いて大がかりな補修が必要になる前に、点検と塗装を検討しましょう。

